これから

 ワクチン接種で口蹄疫がおさまるかどうかわからない。どちらかと言えば、私は悲観的である。

 最悪の場合、汚染が常在化し、これから清浄化に向けて長い長い戦いが始まるのかも知れない。施設や法律の問題があって、動物衛生研究所でしか口蹄疫の研究が出来ないかも知れないが、優秀な若い獣医ウイルス研究者が、使命感をもって動物衛生研究所に入所して、この問題(他にも色々問題が山積している!)に果敢に取り組んでくれることを願う。また、このブログを見た人は、獣医はこんなに重要な仕事をしているのだと理解して欲しい。

 また国も、動物衛生研究所や動物医薬品検査所などにもっと若い研究員と中堅の研究員を増やす方向で動いてくれるように切に願っている。

  農林水産省の平成22年度の予算の資料http://www.maff.go.jp/j/budget/2010_2_2/pdf/h22pr_4.pdf を見て欲しい。
 これをざっと眺めれば、いかに伝染病が軽視されているかわかる。
 項目15と16に口蹄疫のことが書かれているが、15と16の予算規模は、合わせて61億円。口蹄疫ウイルスに関する基礎研究には、おそらくせいぜい数百万円しか使われていないと思う。
 
 意外に思われるかも知れないが、農林水産省では獣医の立場は弱い。畜産研究に回る予算は、稲作研究に回る予算の足下にも及ばない。畜産研究の中でもウイルス研究に回る予算はとても少ない。おそらく「蚕」の研究に回る研究費よりも「牛豚鶏のウイルス病(すべて合わせても!)」にまわる研究費の方が少ないだろう。
 
 獣医ウイルス学はどうでも良い研究分野ではないのだ。今回の口蹄疫に便乗するわけではないが、国には予算の増額と人員の増員を求めたい。