RD114ウイルス迷入の新聞報道から1ヶ月

 1月27日にJournal of Virologyの電子版に論文が掲載され、2月7日に毎日新聞にワクチン中のRD114ウイルス迷入問題が報道されました。混乱を予想したのですが、一般獣医師や飼い主さんは冷静に対応しているようです。

 リスクとベネフィットを考えた場合には、個々の犬に関してはベネフィットの方が勝っていると考えられます。しかし、集団レベルでの問題は解決したわけではありません。RD114ウイルスの研究はこれからです。

 1)ワクチン中に含まれる量でRD114ウイルスが犬に感染しうるのか、2)RD114ウイルスは犬のどの組織に感染しうるのか、3)RD114ウイルスが犬に感染した場合、何らかの病気(他のレトロウイルスのように免疫不全や白血病、リンパ腫など)を引き起こすのか、4)犬のリンパ腫など腫瘍組織にRD114ウイルスゲノムが検出されるのか、などについては早急に明らかにする必要がありますが、これらの研究はとても1つや2つの研究室で行えるものでありません。この問題に関心をもつ獣医師、研究者の協力を切に求める次第です。